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- 2019.06.26更新
- 2019.06.25公開
40代・50代女性の転職はなぜ厳しい?転職を成功に導く4つの秘訣
40代・50代女性はなぜ転職できないの?

「転職活動を始めたけど、選考が先に進まない」
「この年になると女性向けの求人がなかなか見つからない」
40代・50代女性の中には、このように転職活動がうまくいかないと感じている方もいることでしょう。
女性の活躍が叫ばれ、共働き世帯も増えているというのに、なぜ40代・50代の女性はなかなか転職できないのでしょうか?
正社員として復帰する女性は少ない
まずは女性の就業形態の現状を見てみましょう。
男女共同参画白書(平成25年版)によると、20代女性の正社員の割合は約40%ですが、30代前半で35%程度に落ち込み、40代50代では30%前後です。
反対に、非正規雇用の割合は40代以降増加しています。
【年齢階級別労働力率の就業形態別内訳(2012年)】

※出典:内閣府ホームページ 男女共同参画白書 平成25年版より引用
これは、30代で結婚、出産、育児のために正社員の仕事を離れる女性が多いためです。
しかし、女性が一度正社員を離脱すると再び正社員となることは難しく、ブランクから復帰する際には、パートやアルバイト、派遣社員という非正規雇用で働く人が多いということがわかります。
このように、年齢を重ねれば重ねるほど、正社員としての復帰や転職が難しくなってしまっているのが現状です。

30代後半から事務の派遣を続けていましたが、人間関係が悪くなり、転職しようか迷っているうちに40代後半になってしまいました。
いざ転職活動しようと思って書類を送っても門前払いということが多く、転職ができなくなってしまいました。特に資格がない仕事の場合、40歳という年齢はネックになってくる気がします。
40代・50代女性の転職が難しい4つの理由
40代・50代の女性の転職が難しいのはなぜなのでしょうか。その理由としては、以下のようなものがあります。
40代・50代女性の転職が難しい理由
1.記憶力や体力の衰えがある
若いころに比べて仕事が覚えられなかったり、体力的に無理が利かなくなるのは年齢的に仕方のないことです。
しかし企業側はすぐに仕事を覚えて戦力になる人材や、体力があって残業なども無理なくこなせる人材を求めるため、40代、50代の女性は敬遠されてしまいます。
2.扱いづらいと思われてしまう
40代、50代の女性は一般的にコミュニケーション能力が高く、人生経験も豊富な方が多いです。
しかし、それが裏目に出てしまい、「余計なおしゃべりが多い」「自分のやり方を曲げない」など、扱いづらい人と思われてしまうことがあります。
もちろんそのような女性ばかりではないのですが、働いた経験がないまま年齢を重ねた女性の中にはプライドが高くて社会人としての常識がない方もいるため、企業側としては警戒する傾向にあります。
3.仕事経験が少ない
前述のとおり、日本では結婚や出産を機に退職する女性が多いですが、ブランクがあるとどうしても仕事の経験は少なくなります。
40代以上の転職では即戦力が求められることがほとんどなので、仕事経験が少ない方はそれだけで不利になってしまうというのが現状です。
4.客観的な自己分析と企業理解の不足
年齢や性別を問わず言えることですが、自分の持つスキルを客観的に把握しておらず、企業の求める人材が自分に合っているかどうかという企業理解が不足している方は苦戦するでしょう。
自分に何ができるのかということを見極めるのは、意外と難しいことです。
一つの指標として、資格や過去の仕事の成果などがあげられますが、家庭を中心に生活してきたのであれば、冷静に自分のスキルを見つめなおすという機会もなかったでしょう。
また、企業分析は転職活動には必須ですが、仕事経験や転職経験が少ないと「どうすればいいのかわからない」と感じる方が多いのではないでしょうか。

医療事務の経験が長く、その経験を生かして転職しましたが、人間関係が悪くなりすぐに辞める羽目になってしまいました。
転職先にいた若い女の子たちに偉そうな態度で仕事を教えたり、反対に教えられたやり方を拒否したりしていたことが原因だったと思っています。
40代・50代女性のための転職成功4つのポイント

40代・50代女性が転職しづらい理由をお伝えしましたが、この章では、今まで出てきた問題点を踏まえ、転職に成功するための4つのポイントを紹介します。
40代、50代女性が転職成功するためのポイント
1.前向きに挑戦する気持ちを持つ
年齢による記憶力や体力の低下は避けられませんが、工夫次第でカバーすることができます。
例えば、仕事で覚える事がたくさんあるのなら、覚えやすくなるような工夫をしてみるのです。
単語帳やノートに書く、紙に書いて壁に貼るといったアナログな方法も有効ですし、スマホのアプリなど便利なツールを使っても良いでしょう。
体力も鍛えればついてくるものです。不健康な習慣をやめる、週に1回のエクササイズに通うなど、コンスタントに体力づくりをする習慣を作りましょう。
記憶力や体力が衰えたとしても、気力まで衰えてしまうかどうかは自分次第です。
「年だから無理…」とあきらめるのではなく、前向きに取り組む気持ちを持ちましょう。
新しい環境で働くことになった時にも、その姿勢はきっと役立つはずです。
2.謙虚な態度で接する
40代・50代の女性が敬遠される理由の一つとして、コミュニケーションの問題があることをお話ししました。
確かに、職場でプライベートを根掘り葉掘り聞く、過去の経験に固執するなど、社会性に乏しい行動をする女性は時々います。
いくら年齢が上だからといっても、転職先では新入社員であるということを忘れず、常に礼儀正しく謙虚な姿勢で周りの人に接することを肝に銘じましょう。
採用面接では必要以上に実力を低く見せる必要はありませんが、謙虚な姿勢を見せていくことで、入社後も周りと協調することができるという印象を持ってもらえるでしょう。
また、職場とプライベートは切り離して考えることも大事です。
職場の仲間と適度な距離を保ってお互い接することで、無用なトラブルを避け、良好な人間関係を築くことができるでしょう。
3.資格を取るなど転職準備をする
主婦業に専念していた女性が職場復帰を果たすためには、相当の努力が必要です。
しかし、すぐに就職しなければならないという事情でない限り、仕事を決めるまでの時間はある程度あるはずです。
そのような方は、家にいる間に転職に有利な資格を取るなどの転職準備をすることをおすすめします。
資格を取ると有利なのが、医療事務や介護職、IT職などです。
資格を取れば途端に転職しやすくなるというものではありませんが、未経験から始める場合、仕事に対する意欲を表すという点でもおすすめです。
また、介護職などは資格があれば管理職になれたり、昇給するなどのメリットがあります。
他にも就職に直結する資格は多数あるので、希望する仕事に関連する資格があるかどうか調べてみましょう。
ブランクがあるということはデメリットではありますが、自分の時間を持てるという点はメリットでもあります。
自由な時間が取れるうちに、転職活動に有利な準備を進めておくことをおすすめします。
4.自分の能力と企業のニーズを理解する
転職活動では「自分には何ができるのか?」「企業はどんな人材を求めているのか?」という客観的な現状把握の能力が不可欠です。
まずは、自分の能力を正しく理解しましょう。その際には以下の手順がおすすめです。
客観的に自分の能力を把握するための手順
- 「何がどれくらいできるのか」ということを紙に書きだす
- スキルの名前や資格など、さらに具体的に書く
例えば、「事務作業が得意です」というのは大事なアピールポイントですが、このままだと客観性に欠けます。
「エクセルやワードを使える」などと書けばより具体的になりますし、「MOSの資格を持っている」などの資格情報があればさらに良いでしょう。
このように、紙に書いてみることで客観的な判断ができるようになります。
そして、もう一つ大事なのが正しい企業理解です。
「こんな能力がある人がほしい」という情報が、求人情報に必ず書いてあるはずです。
「そこにピタリとハマるようなアピールポイントが自分にはあるか?」「相手が求める仕事が自分にはできるのか?」ということを必ず考えなければなりません。
このようにして自分と企業を適切にマッチングすることができれば、厳しいといわれる40代・50代女性の転職活動も成功に近づくはずです。

派遣事務として長年働いていましたが、子育てが一段落した頃に、より良い条件で働くために簿記の資格を取りました。転職に有利な資格を取得したため、転職活動はスムーズに進み、正社員として転職することができました。
若い人がたくさん働く元気な企業に転職しましたが、もともと、若い人たちと関わることが好きで、変にプライベートに干渉したり上から目線で話すようなことをしたりすることもなく、すぐに打ち解けることができました。
40代・50代の女性の持つ強みとは?

40代や50代の女性は転職に不利な点ばかりというわけではありません。
この年齢の女性だからこそ持てる強みもあります。
転職に有利に働くような40代・50代女性の強みにもフォーカスしてみましょう。
子育てが終わり、仕事に集中できる
女性のキャリアを中断させてしまう出産・育児というイベントは、20代から30代がピークです。40代半ばから後半になれば、育児が一段落している方が多いでしょう。
このように、子供が手を離れて自由な時間を持つことができるというのが、40代・50代女性の最大の強みです。
企業が20代や30代の女性を雇用する場合、「結婚・出産後に退職や育休で戦力離脱されるのでは」ということは懸念するでしょう。
しかし、子育てが終わった40代以上の女性ならば、そうした懸念はありません。
「フルタイムで働けます」「これからスキルアップしていきたいと考えています」と言えるということは、転職する際には大きなメリットとなるのです。
経験を生かすことができる
40代・50代を迎えた女性のことを「若さや元気を失っている」と考えるのは、もったいないというべきです。
確かに20代のころの若さはありませんが、40代を超えた女性こそが生かせる「経験」という武器があります。
仕事内容によりますが、体力を必要としない仕事なら、年齢はあまり関係がないという場合も多いです。
逆に、若いだけよりも年齢を重ねたことで得られる経験や落ち着き、高いコミュニケーション能力がある方が、良い仕事ができるという場合も多々あるでしょう。
「接客力」「販売力」「専門知識」などの仕事を通して培ったスキルや、「コミュニケーション能力」「問題解決能力」などの一般的なスキルはどのような仕事でも役立ちます。
こうした経験やスキルを生かして企業に貢献できるということをアピールすれば、転職成功につながりやすくなるでしょう。
正社員を目指す40代・50代の女性へのアドバイス

女性が一度正社員を辞めると再び正社員となるのは難しいという現実はありますが、「それでも正社員になりたい」という方もいるでしょう。
そのような場合に知っておいていただきたいことをお伝えします。
40代・50代女性の正社員枠は少ないことを覚悟しよう
まず、40代・50代女性の正社員枠は圧倒的に少ないということは覚悟する必要があるでしょう
日本では、年功序列の企業がまだまだ多いというのが現状です。
若いうちに優秀な人材を確保し、時間とお金を注いで会社のために役に立つ人材に育て上げて使うという仕組みです。
そのような仕組みでは、若い人の雇用が優先され、中高年になると優先度が下がります。その中でも男性の方が優先されますから、40代・50代の女性はさらに優先度が低いものになってしまうのです。
既に正社員ならば「転職しない」という選択肢も
このように、40代・50代の女性の正社員枠は圧倒的に少ないため、今現在正社員として働いているならばよほどのことがない限り辞めない方が良いでしょう。
会社の業績不振、夫の転勤、年老いた親の介護などやむをえない事情があることもありますが、そうではないならば、「本当に転職すべきかどうか」をもう一度考えてみてはいかがでしょうか。
派遣社員や契約社員から正社員登用もあり
中には「家族を養うために正社員でなければならない」という女性もいるかもしれませんが、そうではなく、夫が健康で収入がある場合、派遣社員や契約社員として働くというのも良いかもしれません。
なぜなら、正社員枠は狭き門でも、派遣や契約社員の仕事は40代以上の女性も比較的採用されやすいからです。
正社員になりやすい職種を選ぼう
希望の職種で正社員枠を探すというのではなく、少し目線を変えて、正社員になりやすい職業を選ぶという方法もあります。
介護職や営業職、販売職など、人手不足の職種や業界を選べば、正社員になる確率は高まります。
その分、労働時間が不規則、給料が安いなどデメリットもあるはずなので、その点はしっかり肝に銘じておく必要はあるでしょう。
しかし、「とにかく正社員という安定が最優先」ということであれば、業界については妥協をすることで、正社員になれる可能性は広がります。
40代・50代女性が未経験でも転職しやすい職種・業界

それでは、転職が難しいと言われている40代・50代の女性が比較的転職しやすい職種や業種にはどのようなものがあるのでしょうか?
介護・福祉関連
高齢者が急増している中、人手不足と言われている介護・福祉関連の仕事は転職しやすい職業ナンバーワンといえるでしょう。
とはいえ、お年寄りの介護という仕事は精神的にも肉体的にもきついのは間違いありません。また、夜勤などもありますし、給与水準が低いという問題もあります。
しかし、転職しやすさを取るならば、ある程度のリスクは覚悟しておく必要があります。
お年寄りのお世話をすることに抵抗がない、体力があるという人には向いているでしょう。
営業職
年齢や性別を問わず、営業職は転職しやすい職種の一つです。特に、保険のセールスレディは求人の中でも比較的多く見られますから、転職自体はしやすいはずです。
営業職のデメリットとしては、ノルマが厳しいこと、自腹を切らせる会社もあるということなどがあげられます。
そのため、応募する際には企業の体質や条件などについてはしっかりと確認したほうが良いでしょう。
販売業・飲食業
販売業や飲食業も、人手不足と言われています。給与が安く、体力的にきついということが理由としてあります。
接客業が好き、体力に自信があるという方は、転職先候補として考えてみてはどうでしょうか。
清掃などのビルメンテナンス
特に、50代を超えた女性の転職先としてよくあるのが、清掃などのビルメンテナンス、いわゆる「掃除のおばちゃん」です。
トイレ掃除など人の嫌がる仕事ですから、人手不足になりがちです。しかし、掃除が好きという女性であれば、得意を活かして働ける職場であるともいえるでしょう。
エリアによって違う40代・50代女性の転職事情
次に、都市による40代・50代女性の転職事情の違いについて、説明します。
求人が豊富な東京
東京はオリンピックをひかえて求人が豊富な時期です。
首都圏に住んでいるならば、東京近辺で求人を探すのにあまり苦労はないでしょう。
とはいえ、埼玉や千葉、神奈川などから東京に通勤するのは、かなり体力的に厳しいものがあります。
交通費が出たとしても、家に帰ってから家事や育児をしなくてはいけないという方には、つらいかもしれません。
巨大メーカーが多い街、大阪
大阪は誰もが知っているパナソニックや積水ハウス、サントリーなどの大企業が多い街です。そのため関連企業も含め、安定した企業で働けるチャンスがあります。
事務員などの募集も多いため、女性も働きやすいと言えるでしょう。
注目の経済エリア、名古屋
名古屋は今、最も注目されている経済エリアの一つです。
2027年に開業予定のリニア中央新幹線が開通すれば、東京~名古屋が40分で結ばれます。そのため、名古屋に進出する企業も多く、求人を探すには困らないでしょう。
また、名古屋と言えばトヨタ自動車のお膝元であり、関連企業も多く工場の仕事があります。
有効求人倍率が低調な福岡
福岡は九州一の大都市ですが、他の都市と比べると有効求人倍率は1.2倍程度と低調です。
その中では福岡市が最も有効求人倍率が高く、就職しやすいでしょう。人口が増加傾向で、商業施設や企業などが多く集まっています。
また、お弁当の「ほっともっと」を経営するプレナスやレストラン「ロイヤルホスト」のロイヤルホールディングス、辛子明太子のかねふくや、妖怪ウォッチの生みの親レベルファイブなどが集まる街でもあります。
まとめ
40代・50代の女性の転職事情には、かなり厳しいものがあります。
しかし、転職を妨げている問題を掘り下げて解決していくことや、転職しやすい道を模索するなど、40代・50代であっても転職を成功に導く方法はいくらでもあるのです。
まずは自分の状況を正しく理解し、情報をしっかりと収集して積極的に動いてみてください。きっと、道は切り開けることでしょう。